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2月の豆知識「サーマルリサイクル」

寒さが一段と厳しくなるこの頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?


今回のテーマは サーマルリサイクル です。


サーマルリサイクルとは

サーマルリサイクル は「ゴミを燃やした際に発生する熱(廃熱)を回収して、エネルギーとして利用すること」を指す言葉です。


廃熱は主に発電や施設の暖房に用いられますが、温水プールやハウス栽培にも活用されています。


このリサイクルに最も適していると言われるのが、プラスチック類の廃棄物です。


下のグラフからも分かるように、有効利用される廃プラスチック(726万トン)のうち、なんと70%以上(513万トン)がサーマルリサイクルにより処分されています。

ここからは、そんなサーマルリサイクル の メリット や デメリット を紹介していきます。


サーマルリサイクル の メリット

①ゴミを有効に利用することができる


一般的にリサイクルは「ゴミを新たな製品の原料として再利用すること」を指す言葉です。


全てのゴミを新しい製品に作り変えられればよいのですが、中には技術的に再資源化が難しいものや、分別などの工程が繁雑で膨大なコストがかかってしまうものもあります。


こうしたゴミを有効に利用したいときに用いられるのがサーマルリサイクルです。


もし、この方法が行われないとなると、埋め立てや焼却処分されることになり、資源として活用されることはありません。


サーマルリサイクルは資源化することが困難なゴミをエネルギーという形に変え、多方面で活用していくための方法として、日本では積極的に行われています。



②化石燃料の使用量を削減できる


サーマルリサイクルに用いられることの多いプラスチック類は、燃やしたときの発熱量が石油と同じくらい高いことで知られます。


そのため、サーマルリサイクルによる発電を行うことは、石炭や石油、天然ガスといった、火力発電に必要な資源の消費を削減につながります。


化石燃料は、その量に限りのある資源です。


地球の資源を保全するという観点から、よいリサイクル方法と言えるでしょう。

 

これら2つのほかには、

◆埋立処分場を延命できる ◆他のリサイクルよりも設備投資が少なくて済む ◆プラスチックの劣化に伴って発生するメタンガスを削減できる

といった利点があるようです。


サーマルリサイクル の デメリット

①人体に悪影響を与える物質が発生する


私たちに悪い影響を及ぼす物質の代表例がダイオキシンです。


これは発がん性のある物資で、プラスチック類を焼却する際に発生します。


焼却設備や処理能力の向上により、ダイオキシンの発生は大分抑えられていますが、それでも完全に防げるわけではありません。


また、燃焼後に残る灰から鉛や水銀が生成されることもあります。


これら金属もダイオキシン類と同様、人体には有害な物質です。



②地球温暖化の原因となる二酸化炭素が発生する


先ほど、メリットの2つ目として化石燃料の使用量を減らせることを挙げました。


これを聞いて、「化石燃料をあまり使わないで済むのなら、化石燃料を燃やすことで生じる二酸化炭素の発生も抑えられるのではないか」と考えた方もいることでしょう。


確かに、ある程度発生する量を削減できるかもしれませんが、サーマルリサイクルがゴミを燃やす工程を含んでいる以上、どうしても二酸化炭素が発生してしまいます。


地球環境への影響を考えると、ゴミの処理方法として必ずしもよいとは言えないのかもしれません。

 

この2つのほかに「そもそもサーマルリサイクルはリサイクルと呼べるのか」という重要な問題があります。 実際、欧米においてサーマルリサイクルは「リカバリー」と呼ばれ、リサイクルとは差別化されています。日本では「ゴミの有効利用」と考えられていますが、欧米各国の基準では「ゴミの焼却」にあたるようです。



まとめ

私たちの暮らしを支えるプラスチック製品。


この処理の方法として代表的なサーマルリサイクルについて詳しく紹介してきました。


普段は意識することのない「捨てられた製品の行方」に注目してみると、ゴミ問題への理解がより一層深まるかもしれません。


私たちの出すゴミがどのように処理されているのか、その方法は果たして良いものなのか、この機会に調べてみてはいかがでしょうか?



参考

 

サーマルリサイクルとは(IDEAS FOR GOOD) 



サーマルリサイクルとは?(エバーグリーン・マーケティング株式会社)


プラスチックリサイクルの基礎知識2021(一般社団法人プラスチック循環利用協会) 



BYEゴミプロジェクト

小野佑真


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