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3月の豆知識「SDGsと海の豊かさ」

はじめに

 昨年の8月13日と14日の両日、青森県八戸市にある八戸美術館にてイベント「サステナまつり」を開催しました。この記事は、イベントの一企画としておこなった「ミニセミナー」の内容を一部改変してまとめ直したものです。ぜひ最後までご覧ください!


SDGsって?

 皆さんは「SDGs」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか? この章では「SDGsの意味」「制定された経緯」「目標とターゲット」の3つの観点から、「SDGs」について詳しく紹介していきます。


1. SDGsの言葉の意味

 「SDGs」は「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されることが一般的です。では、「持続可能な開発」とは一体どんなものなのでしょうか。

 国際連合によると、「持続可能な開発」とは「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」のことです。あえて嚙み砕いた表現をするならば、「今を生きる私たちだけでなく、これから生まれてくる人たちも満足できるような世界をつくっていくこと」となるでしょうか。「SDGs」は、そんな豊かな世界を作っていくための目標なのです。


2. SDGs制定の経緯

 持続可能な開発の達成を謳う「SDGs」は、2015年9月の国連サミットで採択されました。国連サミット、正式には「国連持続可能な開発サミット」と呼ばれるその会議には、150以上の国家の代表が集いました。サミット参加国の全会一致で採択されたSDGsは、2016年からの15年間での達成が目指されています。


3. SDGsの内容

 「SDGs」は目標とターゲットから構成されています。

 目標は、世界全体で目指したい「理想の地球の姿」のことです。全部で17個ある目標には、「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」「すべての人々への、包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」「 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」といった内容が含まれています。

 17の目標は上のようにカラフルなアイコンにまとめられています。見て分かる通り、それぞれに目標の番号とイラスト、そして目標を端的に示した「キャッチコピー」が書かれています。キャチコピーは短いフレーズで覚えやすく、親しみやすさがある反面、実際の内容が正確に反映されていないものも散見されるので注意が必要です。例えば、目標2。実際の目標には「持続可能な農業を促進する」ことが明記されていますが、キャッチコピーの「飢餓をゼロに」からそれを読み取ることはできません。このようにSDGsを真に理解するには、キャッチコピーだけでは不十分だと言えます。しかし、分かりやすさを重視した本稿では、以降、断りを入れない場合にはアイコンに書かれたフレーズを「SDGsの目標」として扱うことにします。

 ターゲットは、目標に付随して設定された「より具体的な目標」や「目標を達成するための手段」のことです。前者は数字、後者はアルファベットを用いて示されます。どういうことか具体例を用いて説明しましょう。例えば、目標1「貧困をなくそう」には「2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる」というターゲットが掲げられています。これを読むと、より具体的な内容(目標の達成年度や貧困の定義)が分かります。これは目標1の1つ目のターゲットということで、1.1と示されます。

 他方、目標11「住み続けられるまちづくりを」には「各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する」ことが付されています。これは大元の目標を達成するための手段(各国・地域規模の開発計画の強化)であり、11.aと呼ばれています。目標の番号を○とすると、より具体的な目標は「○.数字」、目標を達成するための手段は「○.アルファベット」で示されているわけです。

 ターゲットはSDGsの17個の目標それぞれに設定され、トータルで169個にのぼります。すべてを一度に理解することは大変だと思います(一つの記事でまとめるのも、同じく大変です)ので、ここから先は、目標14「海の豊かさを守ろう」を取り上げて話を進めることにします。


海の豊かさって?

 ここで読者の皆さんに質問です。「海の豊かさ」と聞いて、皆さんはどんなことをイメージされますか。皆さんが考える「豊かな海」とは、一体どんな状態の海でしょうか? この先は、ぜひ自分なりの答えをもったうえで読み進めてみてください。

 SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」は「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」ことを目指して掲げられたものです。このことから、SDGsが求める「海の豊かさ」は大きく分けて3つあると考えられます。1つ目は「海の綺麗さ」です。海や砂浜が美しく綺麗であることは、豊かな海の象徴ともいえるでしょう。2つ目は「海にある資源の多様性」です。この資源には、魚や海藻といった生物だけでなく、岩礁やメタンハイドレート【※】といった無生物も含まれます。3つ目は「海や海洋資源の利用可能性」です。私たち人類が、海や海洋資源の豊かさを享受できることも、豊かさの1つとして捉えられます。


理想と現実の狭間で

 海が綺麗で、海洋資源が豊富にあり、私たちは生活の中でそれらを活用できる。そんな「豊かな海」をこの先ずっと守っていこう、「豊かな海」が残っている未来を目指そう、とSDGsは私たちに呼びかけています。

 ここで一度、理想とする世界から現実の世界に視点を移してみましょう。「海の豊かさを守ろう」と聞くと、今の海は「豊かである」かのように思ってしまうかもしれませんが、実際はどうでしょうか。海が好きでよく足を運ぶ人や海岸の清掃に取り組んだことのある人なら、海中にゴミが漂っていたり、砂浜にゴミが散乱している様子を見たことがあるでしょう。

 海洋ゴミの中でも、特に多いのはプラスチック類のゴミだと言われています。2016年に開催された世界経済フォーラムでは「2050年までに、海中のプラスチックの量は魚の量を超える」という予測が発表され、世界に衝撃を与えました。

 このままだと「豊かな海」は将来消滅してしまうどころか、現代を生きる私たちの目の前からも姿を消してしまいかねません。


海の豊かさを守るには

 では、私たちが「海の豊かさ」を守るためにできることは何かあるのでしょうか。先に紹介した現状を踏まえて、2つご紹介します。

 1つ目は「ゴミをポイ捨てしない」ことです。ゴミはゴミ箱に捨てること、近くにゴミ箱がなかったら自宅まで持ち帰ることを徹底してほしいと思います。海のそばでポイ捨てをしなければ海への影響がない、なんてことはありません。街中で捨てたゴミであっても、外部の要因(風雨や人為的なものなど)で川に流れれば、やがて海にたどり着いて環境を悪化させます。海岸の距離に関係なく、どんな場所であってもポイ捨ては厳禁です。

 2つ目は「ゴミ拾いをする」ことです。落ちているゴミを拾うことは、環境を守るために大切な取り組みです。私たちBYEゴミプロジェクトでも、定期的にゴミ拾いを行っています。一人でゴミ拾いをするのは気が引けるという方は、ぜひ私たちのような団体や自治体の活動に参加してみてはいかがでしょうか。


まとめ

 この記事では、SDGsのアウトラインを紹介しつつ、目標14「海の豊かさを守ろう」に焦点を当ててお話をしてきました。SDGsが目指すのは、今を生きる人だけでなく将来の世代も満足できる社会を作ることです。よりよい未来のために行動すること。それが、今を生きる私たち全員に与えられた使命なのかもしれません。


脚注

※メタンハイドレートは「天然ガスの主成分でエネルギー資源である『メタンガス』が水分子と結びつくことでできた、氷状の物質」のことで、火を近づけると燃えるため、『燃える氷』とも呼ばれ」ています。「日本の周辺海域」の「水深500メートルよりも深い海の底やその下の地層の中」に大量に存在する天然資源です。

出典:資源エネルギー庁ウェブサイト(https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/methanehydrate.html




BYEゴミプロジェクト役員

小野 佑真


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